プロジェクト概要

循環型農林水産景観としいたけ栽培の長期的な変遷と価値の(再)発見 (令和2年度国東半島宇佐地域世界農業遺産調査:代表:名古屋大学 香坂玲)

担い手の高齢化や人口縮退、気候変動という社会と環境要因の双方の変動下で、いかにレジリエントな農業遺産の営みを構築するのかを明らかにすることを目的としました。具体的には、遺産の中心的資産といえる、しいたけ栽培を題材としました。遺産の伝承・歴史と動的な継承の両面を捉えるべく、①気候・生態系や人口の変動と連動させる形での歴史的展開を口述のライフストーリーとして集積し、土地利用に関する歴史的資料及び1970年代以降の衛星データと重ね合わせてしいたけ栽培と文化景観との相互作用を「見える化」しています。②その持続性のための方策について将来世代・担い手と変化を前提とした持続性について熟議型対話を実践しました。具体的には、事業者・市民社会を交えながら、台風等の自然災害へのノウハウ、品質の解釈・合意形成、地域産品の共有資源化(地理的表示保護制度等の活用)、人と自然の相互作用から成るクヌギを中心とする農林水産業景観の維持と生産の知識の伝達等について歴史的、科学的エビデンスを共有しながら対話を行いました。結果、農業遺産及び産品、生産活動に関して、参加者が重きを置く多様な価値の全体構造を分析しています。以上のように本研究では、①で歴史と現状を集積し、②において持続性を模索することを目的として研究を行いました。

国東半島プロジェクト写真
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